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2019年5月19日 (日)

帝王切開は児の食物アレルギー発症を増加させる?

2019年5月19日(日曜日)

Mitselou医師らによって2018年に発表されたスウエーデンの乳児〜小児における大規模研究によると、帝王切開で誕生した乳児〜小児は経膣分娩で生まれた乳児〜小児と比べて、食物アレルギー発症のリスクが約20%高いとの結果が得られたそうです。
一方、早産による低出生体重児や妊娠期間に比して体重が少ない児における将来の食物アレルギー発症の危険性は認められなかったとのことでした。

何故帝王出産児で食物アレルギーの発症の危険性が高まるのかという点に関する説明づけとしては、従来から「膣内細菌叢への曝露によって小児のアトピー性皮膚炎発症のリスクが低下する」との衛生環境仮説が存在していたのですが、帝王切開児は出生時に膣内細菌叢への曝露を受ける事が出来ないため、この説を支持する機序によってアレルギー発症の危険性が高まる可能性が考えられています。

妊婦であるお母さんにとっては出来れば自然分娩で出産したいでしょうし、自分自身の意思に反して帝王切開を選択せざるを得ない場合も多々あるでしょうから、この仮説は歓迎したくないデータですが、今後その他の国々でもやはり同様のデータが得られるのかに関して研究の推移を見守っていきたいと思います。

2019年4月16日 (火)

ゴム手袋による遅延型アレルギー

2019年4月16日(火曜日)

少し前の話になりますが、3月17日に名古屋で開催されたラテックスアレルギーセミナーに参加してきました。
色々な知識を得て大変勉強になったセミナーでしたが、ここでは国際医療福祉大学三田病院小児科の北林 耐教授が講演されました、最近話題のゴム手袋による遅延型アレルギーについて紹介します。

ゴム手袋アレルギーと言うと真っ先にラテックスアレルギーを想像しますが、ラテックスゴム(天然ゴム)によるアレルギーはゴムとの接触直後に即時型アレルギーの臨床型で発症に至ります。
しかし、現実的にはラテックスアレルギーよりもゴム手袋に含有される化学物質による遅延型アレルギーの方が発症頻度は高いとされており、通常接触してから6〜48時間後に症状を発症し、最大4日間継続します。
化学物質の中ではとりわけ加硫促進剤によるアレルギーが多いのですが、加硫促進剤とは、ゴムを固めるために以前には硫黄が用いられていたのですが反応速度(固まる速度)が遅いため、固まるスピードを促進するためにゴム中に添加される化学物質を言います。
加硫促進剤の中では、チウラム系に起因する場合が最多であり、次いでカルバメート系、メルカプト化合物系の順に発症が多いそうです。

天然ゴム手袋中にはチウラム系・カルバメート系・メルカプト化合物系が全て含まれている場合が多いのに対して、合成ゴムではカルバメート系・メルカプト化合物系は含まれているもののチウラム系は含んでいない製品が多いため、総じて遅延型アレルギーの観点からも天然ゴム手袋よりも合成ゴム手袋の方がより安全という事になりますが、とりわけ加硫促進剤を全く含んでいないポリクロロプレン系の合成ゴム手袋がアレルギーを予防するという意味では最も安全だそうです。

2019年3月 3日 (日)

金によるアレルギーが増加している?!

2019年3月3日(日曜日)

昨日は夕方から兵庫県皮膚科医会学術講演会が開催され、私も診療終了後直ちに神戸の会場へ向かいました。
今回のご講演は2演題ありましたが、そのうち1題は昨年10月の本ブログでも紹介した済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおる先生による御講演でした。
高山先生は今回は、近年金によるアレルギーが増加しているとの大変興味深い話題を提供して下さいましたので、今回はそのお話について紹介する事にします。

これまで、金属によるアレルギーと言うと、ニッケル・コバルト・クロムなどによるアレルギーが多く、私も患者さんに対して"金や銀などの高価な金属によるアレルギーはかなり稀なのですよ"とお話してきました。
ところが、高山先生によると近年の疫学では、金属によるパッチテストは相変わらずニッケルの陽性率が最多であるものの、次いで金チオ硫酸ナトリウムの陽性率が高いそうです。しかも、金チオ硫酸ナトリウムのパッチテスト液で陽性をきたす患者さんはほとんどがチオ硫酸ナトリウムではなく、金の感作を反映している場合との事でした。
さらに大変興味深い事に、金による感作は日本人で多く、とりわけ高齢者で多いとの特徴が認められているそうです。
この感作経路の詳細に関しては未だ不明ですが、高山先生は歯科金属に意外に多く金が含まれている事が原因ではないだろうかと推察しておられました。

今後私も、"金によるアレルギーは少ないのですよ"という前言を撤回しないといけないですね。

2019年2月19日 (火)

Bird-Egg 症候群とは?

2019年2月19日(火曜日)

近年、クラゲへの感作によって納豆アレルギーを発症したり、マダニへの感作をきっかけに獣肉アレルギーを発症したりなど、全く因果関係がなさそうな感作抗原による食物アレルギーの発症に注目が集まっています。
今回もその一環と言えるであろうBird-Egg 症候群についてお話します。

Bird-Egg 症候群とは1985年に最初に報告された疾患であり、セキセイインコ・カナリア・オウムなどを飼っている人がその羽毛に感作した場合に鶏卵アレルギーを続発し、鶏卵の摂取によってアナフィラキシー症状をきたす疾患です。

鶏卵のアレルゲンとしてはGal d 1(オボムコイド)、Gal d 2(オボアルブミン)、Gal d 3(オボトランスフェリン)などが主要抗原として有名ですが、これらはいずれも卵白由来の抗原です。
一方、Bird-Egg 症候群の場合には、むしろ卵黄由来の血清アルブミンであるGal d 5が交差抗原として作用していると考えられています。

この様に、全く因果関係がなさそうな抗原間の交差反応による新たな疾患の報告が今後もなされていくであろうと想像され、食物アレルギーからは目を離すことが出来なさそうです。




2019年1月 8日 (火)

イネ科花粉アレルギーに伴う小麦アレルギー

2019年1月8日(火曜日)

小麦摂取後に生じるアレルギーとしては、①乳幼児に好発する小麦製品摂取直後に発症するアレルギー、②10歳代を中心として成人にも生じる小麦依存性運動誘発アナフィラキシー、がよく知られており、この両者は共に小麦の中のグルテンの一成分であるω−5グリアジンまたは高分子量グルテニンが原因抗原である場合が多いとされています。さらに、茶のしずく石鹸中の加水分解小麦に対する感作をきっかけにして小麦の経口摂取後にもアナフィラキシーを生じる患者さんが続出した事が10年弱前に大きな話題となりましたが、このタイプのアレルギーは小麦の経皮感作に起因し、ω−5グリアジンないし高分子量グルテニン以外のグルテン中の成分が原因アレルゲンである事を特徴とします。

これまで、小麦摂取後に生じるアレルギーとしては大体上記の3つのタイプに大別されていたのですが、最近島根大学皮膚科の森田栄伸教授・千貫祐子先生達は第4の小麦アレルギーとして、イネ科花粉アレルギーに伴う小麦アレルギーが存在する事を発表しておられます。
このタイプでは、小麦摂取後に生じる臨床症状は眼瞼浮腫などの比較的軽微な症状に限局する事が多く、また特異的IgE値は小麦>グルテン>ω−5グリアジンとなる場合が多い事から、原因抗原はむしろ小麦の可溶性蛋白領域に存在している可能性が疑われているそうです。

この様に我々の知らないアレルゲンのパターンが今後まだまだ報告されて行きそうですね。
特に、一見脈絡がなさそうな因子の間で交差反応性が存在している事を知ると、余りの興味深さに感動の念すら覚えてしまいます。



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