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2012年10月

2012年10月14日 (日)

分子標的薬タイプの抗ガン剤による皮膚障害

2012年10月14日(日曜日)

昨日診療終了後直ちに大阪へ向かい、以降今日の夕方まで大阪国際会議場で開催された日本皮膚科学会中部支部学術大会に参加してきました。今回もしっかりお勉強してきましたが、今回の学会で新たに得た知識のうちで最も御報告すべきお話として、分子標的薬タイプの抗ガン剤による皮膚障害を紹介しましょう。

"抗ガン剤なんて縁はないわ"と言われる幸せな方も多いでしょうし、また実際病院勤務の医師と比べて、我々皮膚科開業医が抗ガン剤を服用しておられる患者さんと接する機会もそれほど多くはありません。

しかし、今後化学療法の中心は分子標的薬へと移行しており、現在開発中の抗ガン剤の約7割は分子標的薬との事ですし、癌の化学療法は外来通院で行うとの流れが徐々に確立しつつありますので、これからは皮膚科開業医でも分子標的薬による皮膚障害を診察する機会が増えてくると予測されます。

分子標的薬では高頻度に皮膚障害が生じる事が知られていますが、代表的な皮膚症状として、1)脱毛症、2)皮膚乾燥、3)爪周囲炎、4)手足症候群、5)ざそう(ニキビ)様発疹、6)脂漏性皮膚炎、が挙げられるとの事でした。
このうち患者さん方を特に悩ますのが手足症候群であり、分子標的薬内服開始2〜3週間後に突然、手掌および足底の一部に痛みを伴った紅斑が生じてきます。

ただ、従来の抗ガン剤は一旦中止すると効果が減弱するのに対して、分子標的薬の場合には減量ないし中止して皮膚症状を落ち着かせておいてから、薬剤を再開する事が可能だそうです。

また、このような皮膚症状が出現する場合の方が予後が良好であり、皮膚症状の発現は治療効果のバロメーターと考えられているとの事でした。従って、患者さん御本人にとっては辛いかも知れませんが、分子標的薬服用後に皮膚症状が生じるという事はあながち悪い話でもなさそうですね。



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