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2018年5月 8日 (火)

アトピー性皮膚炎とシラカバ花粉アレルギー

2018年5月8日(火曜日)

シラカバ花粉はリンゴ・モモ・サクランボなどといったバラ科の果物類と交差反応性を有しており、シラカバ花粉アレルギーの患者さんがこれらの果物類摂取後に口唇の浮腫や咽喉の閉塞感などの症状を発症する、いわゆる"口腔アレルギー症候群(Oral  Allergy  Syndrome: OAS)"という疾患は良く知られた現象です。

ところが、この度ドイツ・ハノーバ医科大学のWassmann-Otto医師らは、アトピー性皮膚炎を有しており且つシラカバ花粉症にも罹患している患者群では、バラ科の果物類などのシラカバ花粉症関連食物の摂取によって、遅発性にアトピー性皮膚炎自体の湿疹増悪をもきたす可能性がある事を報告しました。
彼らの報告によると、シラカバ花粉に対する感作を有しているアトピー性皮膚炎患者182人を対象としてシラカバ花粉症関連食物の負荷試験を行ったところ65例で陽性反応をきたし、うち32例では即時型反応のみならず遅発性にアトピー性皮膚炎の湿疹自体の有意な悪化をきたしたとの事でした。
さらに、陽性群では陰性群と比べて、シラカバ花粉およびリンゴの特異的IgE値が有意に高く、またアレルギー性鼻炎や結膜炎の有病率も高かったそうです。

今後、アトピー性皮膚炎の悪化因子の一つとして、シラカバ花粉に対する感作の有無やバラ科の果物類摂取によって皮疹が悪化しないかに関しても注目していく必要がありそうですね。

2018年4月17日 (火)

IgE値測定の臨床的意義について

2018年4月17日(火曜日)

総IgE値とは、元々もっている即時型アレルギー体質の強さの尺度と考えられている検査項目です。
但し、アレルギー疾患以外でも上昇する場合がある事から、総IgE値のアレルギー検査としての診断的意義に関して疑問視する見解も存在しています。
一方、特異的IgEとは個々のアレルゲンに対する反応性の強さを判定する項目であり、0~7の7段階に分かれていますが、2以上で陽性と評価されます。

私自身は、アトピー性皮膚炎の患者さんに対して総IgE値を測定する事は結構意義があると考えており、高値の患者さんに対してはIgE値を下げる効果があるとされているアイピーディー(一般名:スプラタストトシル酸塩)という内服薬を服用する事をお勧めしたりしています。

このような点に関して、国立病院機構相模原病院臨床研究センターの福富先生は「総IgE値は必ず特異的IgEと同時に測定する」事を推奨されており、"総IgE値が1万IU/mlを超える様な場合、個々の特異的IgE抗体価はクラス1~2の弱陽性をきたしても臨床的意義のない偽陽性反応が生じやすく、反面総IgE値が50IU/ml程度の低値の場合には、たとえ特異的IgE抗体価がクラス1~2の弱陽性であっても臨床的意義が非常に強い場合もある"との考えを述べておられます。

一般的に、即時型アレルギー検査では特異的IgE値よりも皮膚テストの方が診断的意義が高いと考えられていますが、私自身もIgE値に関しては皮膚テストと併用しながら総合的に且つ柔軟に判断して、患者さん方のアレルギー素因の強さや原因アレルゲンに関する診断を行っていきたいと考えています。

2018年3月11日 (日)

アトピー性皮膚炎も十人十色

2018年3月11日(日曜日)

3月8日(木曜日)の夜は神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科部長である長野 徹先生主催の地域合同カンファレンスに出席し、横浜の あい皮フ科アレルギー科クリニック院長である池澤善郎先生による「皮膚アレルギーについて〜その診断と治療について〜」との御講演を拝聴してきました。
池澤先生は元横浜市大皮膚科の教授で現役の頃は日本の皮膚アレルギー学の第一人者でしたが、教授を定年退職された後にクリニックを開業され、72歳になられた現在でも精力的に診療を続けておられ、個人的にもとても尊敬している先生です。
当日の御講演ではアトピー性皮膚炎を中心にお話しされましたが、開業されて以降むしろアトピー性皮膚炎には様々な多様性がある事を実感する様になってきたと述べられ、"アトピー性皮膚炎も十人十色"との表現をされていました。

従って、その多様性によって治療方針も異なる訳ですが、池澤先生が注目されるアトピー性皮膚炎のサブタイプとして、1)バリア障害型(皮脂欠乏型)、2)食物アレルギー(主に経皮感作により)合併型、3)金属アレルギー合併型(手足または全身の汗疱状湿疹を合併する場合が多い)、4)脂漏性皮膚炎合併型(汗アレルギー、マラセチアアレルギーを有する)、5)ざ瘡または酒さ様皮膚炎合併型、6)心身症合併型、7)ウイルス性イボ合併型(痒疹や苔癬化の病巣を伴う場合が多い)、8)花粉経皮感作合併型、などのタイプを挙げておられました。

アトピー性皮膚炎の治療は症例によっては困難を極める場合も少なくありませんが、池澤先生の様な着目点を取り入れて、ステロイド剤ないし保湿剤の外用と抗ヒスタミン薬の内服といった通常の治療法にプラスアルファの治療を加える事によって、もし治療効果が高まれば素晴らしいなと考えさせられる夜になりました。

2018年2月 6日 (火)

ヒノキアレルギーに要注意

 2018年2月6日(火曜日)

2月3日(土曜日)の夕方、ホテルオークラ神戸で開催された、ゆたクリニック院長の湯田厚司先生による御講演を拝聴に行きました。

湯田先生は耳鼻科の先生ですが、スギアレルギーと比べて軽視されているヒノキアレルギーにも気をつける必要がある事を教えて下さいました。
ヒノキアレルギーが軽視される原因として特異的IgEの値が高値をきたしにくい点を挙げられ、実際には検査値を10倍して判定する必要があるそうです。
3月〜4月頃に咽喉がゼイゼイ、ヒリヒリしたり咳が慢性的に持続したりする場合、その症状は風邪ではなくヒノキ花粉症である事が多いのだそうです。しかもこのような症状は特に西日本で多く、また飛散量が少なくても症状は発現するとの事でした。

このような症状を主訴にして皮膚科を受診される場合は多くはないかも知れませんが、我々r皮膚科医もこのような症状をきたすヒノキアレルギーに対して熟知しておく事が必要であろうと痛感しました。

2018年1月 8日 (月)

精液アレルギーpart2 〜Postorgasmic illness syndrome(POIS)〜

2018年1月8日(月曜日)

今月も先月に引き続き、精液アレルギーについて述べたいと思います。
先月は女性に生じる精液アレルギーの話だったのですが、今月の話はこれまたショッキングですが、男性に起こる精液アレルギーです。
この病気に関しても昨年12月に鹿児島で開催された日本皮膚アレルギー学会で学んできたものであり、東邦大学医療センター大森病院から症例報告がなされていました。

男性に生じる精液アレルギーに対しては、postorgasmic illness syndrome(POIS)との病名が提唱されているそうですが、性交や自慰行為後に極度の疲労に陥り、急激な発熱・発汗・鼻閉・眼のかゆみ・筋肉痛など、あたかもインフルエンザに罹患した時の様な症状をきたすとの事です。

2002年に最初の報告がなされて以降、全世界合わせてもこれまでの報告例はそれほど多くはないのですが、最近の論文では現実的にはPOIS患者は少なからず存在していると論じられています。
この論文によると、報告数が少ないのは性交や自慰後に体調不良を経験している患者の多くが、その症状をPOISとは認識していないためであると推測されています。

発現する症状は一見アレルギーらしからぬものですが、自己の精液を用いてプリックテストを行うと陽性反応をきたす事より、自己の精液中の蛋白に対する即時型アレルギー反応の機序に起因すると考えられています。
最近、患者自身の精液を用いた脱感作療法によって症状が緩和した2症例の報告も認められているそうです。

それにしても、世の中いろんな病気があるものですね。

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